アイスハート

あの時、凍った私の心。炉心溶融、人を愛す心はいつ溶るのか。傷だらけの一片氷心の日常。

『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』七月隆文/本当の意味での運命の出会いと2人の恋愛小説

f:id:maegamix:20150627151424j:plain

今月は仕事が多忙で中々思うように本が読めません。

しかし空いた時間を利用して、なるべく本を読もうとしている/読まなければ心が廃れてくる気がしますので、全く小説を手にとっていない訳ではありません。

本作品は、今年のはじめに書いて、今もなお当ブログの看板コンテンツとなっている、『私が青春を共にした、おすすめの小説ランキングベスト50』のコメント欄で紹介されて購入した本です。

京都の美大に通うぼくが一目惚れした女の子。
高嶺の花に見えた彼女に意を決して声をかけ、交際にこぎつけた。
気配り上手でさびしがりやな彼女には、ぼくが想像もできなかった大きな秘密が隠されていて──。
「あなたの未来がわかるって言ったら、どうする?」
奇跡の運命で結ばれた二人を描く、甘くせつない恋愛小説。
彼女の秘密を知ったとき、きっと最初から読み返したくなる。

運命の出会いと一目惚れ

全ては主人公の美大生・南山高寿(たかとし)が、電車の中で偶然見かけた女性・福寿(ふくじゅ)愛美に一目惚れする事から始まります。

一目惚れ。そこそこの人生を歩んできた私ですが、これまでの人生の中で、まだ味わったことがありません。たぶん、これからの人生でも無いと思います。

ただ、こういった偶然の一致、または使い古された言葉・運命の出会いから始まる書き出しは好きです。自分になかった体験を疑似体験できる、しかも恋愛小説となると全てが新鮮です。

序盤から感じる違和感と並行する発展していく交際関係

春の香りすら感じる、優しくも強烈に印象に残る出会いから、高寿は福寿さんと次に会う約束を取り付けることを忘れてしまいます。

しかし、そんなことはお構いなしに、明日も会えるという福寿さん。

そして、2回目の再開も、偶然(または、福寿山の並々ならぬ努力)によるもので、やはり運命の出会いと言えるような二人の関係に、違和感という伏線が残されます。これは、私がそう感じたのではなく、そのように物語が作りこまれているものです。

てっきり私は著者のミスと思い込み、頭の片隅に置く程度に読み飛ばしていたのですが、これが実は重要な伏線となっています。

そして、福寿さんの涙の本当の意味に気付かない高寿の、一途で純粋な想いで発展していく交際関係が切なくてぐっときます。

明かされる福寿愛美の秘密

度重なる違和感と、ついに結ばれたその日の夜、ついに福寿愛美が抱える秘密が明かされます。

京都という舞台設定と、恋愛小説というテーマから突然SFチックな話しに発展するため戸惑いを覚えるのですが、本作品のタイトル『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』から、ある程度覚悟をしていた方向へ、ついに舵がきられます。

また、度々高寿が思い出す、過去の情景の本当の意味もここで明かされます。

ただし、ここまでが飽くまで中盤です。

ここから始まる、「昨日のきみ」との物語がとにかく切なくて、読む場所を選ばなければ思わず泣き出してしまいたくなります。

私は母の実家で親戚の集まりの中で本作品を読んでいたため、何とかこらえられましたが、いつもどおり自宅で一人で読んでいたらボロ泣きだったかもしれません。

【総合的な感想】映画化しそうな作品

新品で買った帯には、『読書メーター』利用者の感想文が多々引用されているため、本作品はソーシャル読書サービスで話題になっている作品のようです。

何となく読了後に感じたのは、映画化されそうな作品だなぁ、ということ。直接は関係ありませんが『電車男』の例もありますし。

好んで読むジャンルではありませんが、物語の登場人物が恋愛関係となる恋愛小説には、30を目前とする私でも憧れのようなものがあります。

  • 「こういう恋愛関係に憧れる」
  • 「でも、こういう運命は嫌だ」
  • 「それでも、やっぱり憧れる」

本作品の舞台設定やテーマ、そして結末には非常に好感を持ちました。

会話が主体となっている作品ですので、あっという間に読めてしまいます。個人的には、もう少し長編でも良かったと思いますが、題材の方向性からすると、意味このページ数が最適なような気もします。

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

この作品が気になった人へおすすめの記事

© 2014-2017 アイスハート by 夜