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アイスハート

あの時、凍った私の心。炉心溶融、人を愛す心はいつ溶るのか。傷だらけの一片氷心の日常。

『ヒトリシズカ』誉田哲也/悲劇のヒロインの人生と凄惨な事件

読書/書評 読書/書評-小説

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昨年末頃、ブックオフで平積みされており、値段も手頃だったので、購入した小説です。

著者の本は他に読んだことがありませんが、調べてみると『ストロベリーナイト』など、どこかで聞いたことのある著書の他に、多数の著書が出版されているようです。

私が本を買うときは、以下のポイントに絞り、総合的に判断して購入するのですが、本書はこれらが全て及第点でした。

  • タイトルのインパクト
  • 目次の構成
  • 背表紙などに記載されているあらすじ

本書は、あなたに新しい興奮をもたらす。それは、第一章「闇一重」で幕を開ける。男が拳銃で撃たれて死亡する。犯人逮捕が間近となった矢先、司法解剖をした法医学者から連絡が入る。心臓に達していた銃弾は、一度止まってからまた動いたというのだ―。第二章 「蛍蜘蛛」で驚愕、第四章「罪時雨」で唖然、最終章「独静加」で…何を見る?―。

目次

ダークネスで独特な目次の言葉遣いが魅力的です。

  • 闇一重(やみひとえ)
  • 蛍蜘蛛(ほたるぐも)
  • 腐屍蝶(ふしちょう)
  • 罪時雨(つみしぐれ)
  • 死舞盃(しまいさかずき)
  • 独静加(ひとりしずか)

ネタバレ無しで感想を書きたいと思います。

闇一重(やみひとえ)

あらすじにある、不可解な事件の始まり。

特にひねりの無い、序章です。最終章につながる全ての始まりですので、本章を読み終わっただけでは、まだ今後の展開が読めません。

この時点での本書の印象は、ザ・警察小説でした。

紙一重(かみひとえ)の言葉遊び。

蛍蜘蛛(ほたるぐも)

とあるストーカー被害と殺人事件からヒロイン『静加』の関与が疑われる。

設定というか本章で発生する事件の内容は、全ての章の中で一番気分の悪いものでした。(内容を批判している訳ではありません。)

そしてその内容への裁き方や考え方が、本章後半の『静加』の発言で共感することができ、次の章へと手を引っ張られるように引き込まれていきます。

何の言葉遊びか分かりません。

腐屍蝶(ふしちょう)

元警察官の私立探偵が請け負った『静加』の家出捜査と、また別件である浮気調査がつながる。

闇一重の前後、蛍蜘蛛よりは後の話です。

不死鳥(ふしちょう)の言葉遊び。

罪時雨(つみしぐれ)

主人公にしてヒロイン、ミステリアスな雰囲気を醸し出す謎の女性『静加』の過去が語られる

闇一重の10数年くらい前が舞台と思われます。おそらく、全章の中で一番昔のお話。

蝉時雨(せみしぐれ)の言葉遊び。

死舞盃(しまいさかずき)

とある暴力団同士の抗争と思われていた事件から、不可解な点が浮かび上がる。

腐屍蝶のその後の話し。

兄弟杯 ≠ 姉妹杯(しまいさかずき)の言葉遊び。

独静加(ひとりしずか)

最初の事件から長い時を経て、ついに静加が捕まる。しかし、静加はその時既に…。

本書の最終章。総合的な感想を下記に記します。

何の言葉遊びか分かりませんが、RADWIMPSの音楽『セツナレンサ』の様な響きです。

感想

ミステリー小説と思い込み手に取った本作品ですが、刑事小説っぽさが色濃く、凄惨な事件の章もあるため、アナザヘヴンを思い出しました。

主人公である静加のミステリアスな言動や人物像が非常に魅力的で、読み始めてからあっという間に読み終えてしまいました。

しかし、全体的に残念なのは読了後に残る物足りなさです。例えるなら、60分で終わる宴会、といったところ。しかも2次会無しです。

物理的にもボリュームの無い(ページの少ない)作品なので、これからと言うところで、強引に打ち切られ、各話ごとの結び方に荒っぽさが感じられます。

シリーズ物として次があるのであれば、終わりよければ全て良しと言えるのですが、本作品は終わり方も中途半端なので、その点が残念でなりません。

ただ、タイトルの言葉遊びを含め、一つ一つのパーツがとってもユニークですので、著者の他の作品に期待を込めたいです。